このノートでは、態度、発言などが自虐的で建設的な話し合いができない保護者の方の、そうなる理由や対応について書きます。この様な方は、逆説的に、自分を責めることで自分を守ろうとしています。具体的な行動に焦点をあててコミュニケーションすることが必要です。
●自虐的な方の様子
こどものことで何か話し合いたいことや確認したいことがあっても、「すべて私が悪いので」と原因を全て保護者自身に帰属させたり、「すみません」と謝るだけで話が前にすすめられなかったりする方がいます。
この様な保護者の方は実害がないので、問題視されること自体はまれです。しかし関わっていて手応えがなく、なんとなく苦手と感じてしまいます。
●どうしてそうなるのか
自らを責めることでそれ以上責められないよう守っているのかもしれません。あるいは、自虐的に振る舞うことで、問題から目を反らしたいのかもしれません。当然、背景には自己肯定感が低いことも考えられます。
自己肯定感が低いと、自分は責められて当然だという考えや、自分にはどうにもできないという考えが頭をよぎります。
その結果、建設的な話し合いをすることよりも、自分を責めることに一生懸命になってしまいます。
●対応方法(考え方)
自虐的な態度をとられると、私たちは「そんなことないですよ」と相手を否定しがちです。否定されるとますます人は「いやいや自分はだめな存在だ!」と声高にして自己否定にこだわらなければいけません。
自虐的になることで自分の身を守ろうとしている方は、特に自虐を否定されればされるほど、より積極的に自分を責めてしまいます。自虐的な発言は、否定も肯定も必要ありません。ただ、「なるほど、そんな風に考えるのか」という心持ちで保護者の語りに耳を傾ける必要があります。
私たちが保護者の方と何を話したいのか明確にしておくことは重要です。責任が誰にどうあれ、目の前の保護者の方にしてもらうべきことがあるはずなので、そのことついて具体的に話をしていかなければなりません。
自己肯定感は誉められることで高まると思いがちです。けれども、本来は主体的な活動が励まされることで身についていくものです。
こうしましょうと言い切る形ではなく、「こちらとこちらどちらがやりやすいですか?」「こういうことでなにかできそうなことはありますか?」など、まずは保護者の方が選択できる形が必要です。
極端に自己肯定感が低いと、どのような選択肢が与えられても「わかりません」「できません」の一辺倒で答えるしかなくなります。
その場合も、「わからないこと」「できないこと」を選択したことを尊重し、「じゃあ、一度これを、やってみましょうか?」「どこまでならできそうですか?」など、一緒に答えを探していこうとする姿勢が重要です。