保育プラス

【臨床心理士講座】積木〜遊びの意味〜

こどもの遊びの意味を考える、こどもの世界がより深く理解できます。
保育や子育てに直接役に立つことはないかもしれませんが、こどもの世界を知ることでより積極的にこどもと関われるようになるかもしれません。
そんなきっかけになれば幸いです。

積木

 ものを積む行為ができるようになると、こどもは積木遊びを楽しめるようになります。上手に積むには、『積木』の状況を理解して調整する力が必要です。理論的な思考手先の器用さは、もちろん、見立て遊びを通して想像力も発揮しています。

 こどもは『積木』を通じて、ものに働きかける楽しさを覚えます。当然、その楽しさは、傍でみている大人や一緒にしている友達と共有できることで培われます。

積木 以前のこども

 生まれてすぐの赤ちゃんは、まだ自分の身体を上手く扱えません。身体をなんとなく動かしてみて、その結果に関心を向けています。
首や腰がすわり、少しずつ身体の使い方を覚えてくると、それに対応して自分の周りの世界を理解していきます

 一番はじめは、手にしたものを何でも口にいれてみる。大人は目を離せません。そうしていると、手を使ってものを動かす、穴にいれるなどなど、物の状況を変えることができるようになってきます。わざわざ畳んでる洗濯物をぐちゃぐちゃにして、結局、大人は目が離せません。

 私たちにとって、身体の発達と世界の広がりは同時に展開していきます。右左の世界、前と(自分では見えない)後ろの世界、これらは、自分の身体を使って、すなわち遊ぶことを通じて理解していきます。もし生まれて数年の間を、安心できない環境で過ごしてしまったとしたら、私たちが当たり前に体験しているような認知世界を獲得できず、脳神経レベルで負の影響を受けてしまうことが知られています。

積み木

積木の展開

 こどもは『積木』を通じてさまざまなことを学習していきます。ものを積むだけでも、さまざまなことをしなければなりません。まずは、手で保持するということ。それからよく見るということ。積む木片と下の木片の両方に意識を向けて、手の位置を調整し、力加減を考えます。

 こどもは自らの知的好奇心を満たすために、これだけのことをなしとげます。そのときに大人の眼差しと関心があれば、ますますこどもは背中をおされて知的好奇心を探し求めます。
知性が伴えば、見立て遊びもできるようになり、ものを媒介にして自らのイメージを他者と共有することを学びます。

 大人はこどもと『積木』をするとき、自分のイメージや、常識を当てはめようとしがちですが、少し待ってください。こどものイメージにそのまま関心を向けることができれば、こどもは自由に想像する喜びを覚え、ますます潜在的な能力を引き出してくれるはずです。