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【臨床心理士 講座】質問されたら?〜いきいきした会話〜

このノートでは、こどもといきいきした会話を築くためのちょっとしたコツを紹介します。
でも、あんまり気にしないでください。(笑)なによりも会話は力みすぎないことが大事。
ちょっと頭の片隅に置いておくことで、ちょっぴり役に立つ、隠し味的なお話です。

質問されたら?

 こどもは好奇心旺盛です。
なんでもかんでも、質問します。ときには、絶対にわかっているだろ!と思うことでも質問します。
そんなとき、あなたはどうしますか?質問されたら、しっかり答えるという人もいると思います。反対に、気にかけすぎてもきりがないから適当に返すという人もいるかもしれません。

 いずれにしても、こどもは大人からの返事をもらってとても満足します。こうして、こどもは親しい大人の解答から、世界を組み立てていきます。
しかし、大人の解答だけで作られた世界は、こどもの創造力を刺激しません。大事なのは、こどもがこどもの目で世界を体験し考えることです。

質問には質問で返そう!

 定石は、質問には質問で返す、です。
「これ何?」と聞かれたら、「これ何かな?」
「これはどうして?」と聞かれたら、「これはどうしてかな?」
質問で返していきます。

 こどもはこどもなりの見方や考えを持っています。こどもは、大人の考えや見方を知りたいのでどんどん質問してきます。でも、この世界のことなんて大人もほとんど知りません。
つまり、大切なのは、質問で返すことではありません。こどもが世界の謎に挑戦しているとき、大人もこどもと一緒に世界の謎に興味を持っているかどうかです。

 もちろん、未知なものに遭遇したとき、私たちが安心していられるのは、可知なものが基本的にはたくさんあるからです。
こどもの質問に答えることも大事!
でも、それを当たり前のこととせず、こどもと一緒に謎を楽しむ。ここから、創造力が育まれます。

会話

大人が好奇心旺盛でいられるか

 話を逆転させて考えてみましょう。
普段、どのくらいこどもに質問をしていますか?問う人が相手の解答や態度を予想していたら、それは質問ではなくて発問と言います。

 そうではなくて、本当に心からあなたが関心を持って疑問に感じたことを、こどもと共有したことはあるでしょうか?あるいは、こどもに対して、好奇心を持って関わっているでしょうか?好奇心を持っていれば、自然と質問が湧いてくるはずです。

 当然、毎日のように、仕事としてたくさんのこどもと関わらないといけない保育士であれば、テクニカルにこどもを揺さぶるような発問をしていくことが必要かもしれません。
でも、きっとこどもは大人の本心を見破ります。こどもは、大人が真剣かどうかをすぐに見破ります。

 技術的なことばかりに気がいっていると、どうしても好奇心を働かせるような感性が鈍ります。いま、もう一度、自分が好奇心を持って世界を眺めているか、こどもと同じ気持ちで世界の謎と向き合っているか、確かめてみてください。