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【臨床心理士講座】罪悪感があるとき〜しつけで大事なこと〜

このノートでは、しつけをしないといけないことはわかっていても、どうしてもかわいそうと感じてしまうときの背景や対処法について考えます。
しつけの場面なので、毅然と対応しなければなりません。感じてしまう罪悪感を受け止めるために、なぜそう感じてしまうのか考えることが重要です。

罪悪感がある時の様子

 こどもが何かしたいとぐずるとき、例えば、おやつがほしいと訴えてきたとき、「こんなに泣いているなら、あげたほうがいいのかなあ」と考えてしまいます。そしてあげていないことに罪悪感が芽生えてきます。

 一方いまこどもの訴えに応じてしまうと、また次も同じようにわがままを言うんじゃないかと不安になります。

 大人が不安になっていると、こどもはますます泣いてなにかを訴えようとして悪循環になります。しまいには、あなたの罪悪感がイライラにかわり、こどもにきつく当たってしまうかもしれません。

どうしてそうなるのか

 こどものやりたいことをさせてあげられない時、残念な気持ちになるのは当然です。しかし、どうして申し訳ないという罪悪感に繋がるのでしょうか?

 それは、本当はさせてあげられるのに、「私が止めている」という責任感を抱くからです。責任感があることは一見良さそうに思えます。でも、少し考えてみてください。

 しつけは、個人的な感情でするものではありません。社会一般というものがあるかどうかは別にしても、しつけはこどもや大人の気持ちでどうこうできるものではありません。

 「月にいきたいの?いいねえ。残念やなあ」というレベルの話に責任を感じることはありません。なぜ、責任を感じてしまうのでしょうか?

 そこに、自分が責められたらどうしよう、こどもに優しくないと思われたらどうしようという不安があるかもしれません。不安を原因に感じる責任感は、その払拭にばかり気がいって、こどもの気持ちに心を配る余裕がなくなります。こどもが思うように聞き分けてくれないと、だんだん罪悪感がイライラにかわりやすくなります。

子供に困った女性

対応方法(考え方)

 しつけはこどもや大人の気持ちは関係ないことを確認しました。こどもがぐずっているとき、「ああ。この子は月にいきたいんやなあ」という心持ちでいることが重要です。そうすると、残念という気持ちを共有しながら、「でも仕方がない」と割りきって関わることができます。
 もちろん、こどもの要求に応えられる(応えてもいい)なら、見返りなく応えてあげることも大切です。

 大人ができること、できないことの線引きをはっきりしておけばこどももこの社会のことを理解しやすくなります。日常、いいか悪いか判断に迷うことも少なくありません。それでも、迷っていることを自覚できれば、やってあげられない私という気持ちで罪悪感をいだく必要がなくなります。
 ただそれでも罪悪感がわいてくることはあります。その背景にある気持ちや考えはそれぞれなので、自分はどうして罪悪感をもってしまうのか振り返らなければなりません。自分の気持ちや考えが言葉にできれば、少し気持ちが楽になります。

 こどもと私たちが社会の制約の中で生きていくには、いろんな我慢が必要です。こどもが思いどおりにならなくても、あなたやこどもは悪くありません。(もちろん社会が悪いわけでもありません。)
 一緒に我慢することを楽しめるようになればそれが一番です。