普段の保育を行う中で「子どもの主体性」を大切に保育計画を立てている方は多くいます。子どもの健やかな成長をサポートする保育士は「子どもの主体性」を大切にし、尊重して保育を行いますが、改めて「子どもの主体性とは?」と考えると少し難しい気もしますよね。
ここでは、子どもの主体性とはどういったことを指すのか、保育の中でどのように大切にしたら良いのかなどをわかりやすくお教えしていきます。
目次
>子どもの主体性とは?
>子どもの主体性を大切にする保育とは?
>まとめ
●子どもの主体性とは?
子どもの主体性を大切にしましょう、と一言で言っても「そもそも主体性ってなんだろう?」と感じる人も多いのではないでしょうか。保育における「主体性」とは「子ども自身が目的を果たすために何をすべきか考える」「自分の意思で行動を決定する」ことを指します。
主体性は尊重されるべきもの
保育所保育指針の第一章の中にある「保育の基礎原則」の「保育の方法」として「保育に当たっては、一人一人の子どもの主体性を尊重し、子どもの自己肯定感が育まれるよう対応していくことが重要である」と記されています。
子どもの主体性を尊重することは健やかな成長に必要不可欠で、普段の保育の中でどのように接していくべきなのか、しっかりと考えていかなくてはいけません。
主体性とは単に子どものしたいようにすることではない
保育における「主体性」は「子ども自身が目的を果たすために何をすべきか考える」「自分の意思で行動を決定する」ことだと前述しましたが、どこまで子どもたち自身に任せたら良いのでしょう。子どものやりたい!という気持ちは大切にしつつも、ただ単に子どものしたいことだけをさせて好き放題させ、保育士側が何も働きかけを行わないのは「主体性を尊重している」とは言えません。
保育士側は、子どもたちが考え行動できるように「環境設定」を行うことが大切です。保育の環境を整えるために計画的な構成が必要となってくるので、月案や週案、指導案などが重要になってきます。
●子どもの主体性を大切にする保育とは?
子どもの主体性が保育を行う中で必要不可欠だと理解できたところで、どのような保育を行なっていけば良いのでしょう。子どもの主体性を大切にしすぎるあまり、好き放題になってしまったりクラスがまとまらず収拾がつかなくなる場合もあります。計画的な環境をつくりだし、その環境の中で子どもたちが自由に考え、行動できるように支援していきましょう。
子どもの主体性を尊重する保育の難しさ
主体性を尊重する保育として、子ども自身が目的のために考え、行動する姿を見守ることを大切にしよう!と思った時、誰しもが「どこまで子どもたちの自由にさせてあげたら良いのだろうか」と悩みます。
例えば発表会の劇を決める時、保育士が「これにしよう!」と決めたものを子どもたちに伝えて劇を行うのは「子どもの主体性を尊重している」とは言い難いです。子どもたちが普段楽しんでいる絵本やごっこ遊びの中からある程度の候補を持ちつつも「発表会でやる劇はどんなのが良いと思う?」と子どもたちに問いかけながら、意見を聞き、どんな役があるか等話し合いの場を設けて決めていく方法は「子どもの主体性を尊重している」と言えるでしょう。
このように、保育士が子ども達自身が自分で考えられるような環境を設定することが「子どもの主体性を尊重した保育」のキーワードになります。
子ども一人一人の性格や個性を大切にする
子どもの主体性と言っても、当たり前ですが子ども一人一人性格の違いや様々な個性があります。集団保育の中では、どうしても「この時間までには全員でこれをしておきたい」といった場面があることでしょう。
そういった場面でも、同じことをするのに早くできる子もいれば時間のかかる子もいます。その時、子どもの性格や個性を見極めて、子ども自らどうしたら良いのか考え、どう行動すべきなのか理解できるような声かけや環境設定が必要となってきます。
日々の積み重ねが「子どもの主体性」を作る
子どもが目的のために自分で考え、行動するという一連の流れは簡単そうに見えますが、実はとても根気と時間が必要なものです。考える集中力がなかったり、自ら決めるのに不安げな様子の子もいます。子ども達が自分の気持ちを大切にして、自分以外の誰かに伝えたり、決めたことを行動に起こすきっかけとなるよう、保育の中では「日々の積み重ね」が大切になります。
登園から自由遊びまでのお支度方法など、始めは保育士側が設定した流れでも、日々の積み重ねにより「今はこれをする時間だ!」と考えて行動できるようになります。毎日の保育を大切にすることで、子どもの主体性を尊重した保育を確立していくことができます。
●まとめ
子どもの主体性とはどういったものか、主体性を尊重する保育とはどういうものかをお話ししてきました。難しく考えがちなテーマではあるのですが「保育士側は子どもが考えて行動できるような環境を設定する」ということが大事なのだと忘れないようにしましょう。
子ども一人一人の性格や個性を見極めて、どのような声かけを行うべきか、今は見守るべきタイミングなのかなど、日々の保育の中で適切な環境設定の行い方を考えていけると良いですね。