このノートでは、『こどもが喧嘩するとき』の対応や考え方について書いています。
こどもが怪我をしたり心を傷ついてしまったりすることは避けなければなりません。しかし、そればかりに気をとられていると、こどもが成長する機会を奪ってしまいます。こどもの気持ちを汲み取りながら見守る姿勢が必要です。
●こどもが喧嘩する時の様子
暴力をしないにしても、こどもはよく喧嘩します。しっかりと解決して終わることもあれば、一方が半ば諦めたり我慢したりする形で終わることもあります。そんなとき、様子をみていると、大人としてもう一歩ふみこんだ介入をした方が良かったかもしれないと悩んだことはないでしょうか。
保育園や幼稚園などでこどもが喧嘩をはじめると、そこに人の手がとられてしまいます。そうなると私たちは、とにかく喧嘩を止めさせようと、こどもたちに声をかけます。そうするとこどもは「知らないくせに、勝手に決めつけられた!」と逆上してしまうかもしれません。
●どうしてそうなるのか
喧嘩の背景はそれぞれです。いずれにしても、相手のことが受け入れられない状況になっています。
人はそれぞれの世界をもっていて、それを他人の世界と照らし合わせながら生きています。
しかし、自分の思いとはかけ離れた態度に出られると、その人のことを受け入れられず攻撃的になってしまいます。
相手が攻撃的に来ると、当然私たちは恐怖を感じます。そのため、それ以上火に油をささないように、自分の気持ちを我慢してやり過ごそうとしてしまいます。
喧嘩をするときには、自分も相手から受け入れてもらっていないという不安を抱えています。そこで一方的に正論を伝えられても、自分の気持ちがないがしろにされたように感じ、自分の存在を認めさせようとして攻撃的になってしまいます。
●対応方法(考え方)
こどもが暴力をしてしまうなら、止めなければなりません。また、喧嘩の解決がみつからず困っているようならば、具体的な方法をアドバイスするのも必要です。
しかし、相手を受け入れる、自分を受け入れてもらうという点から考えるならば、いまの相手の気持ちや自分の気持ちが、そのままそれで別に構わないという姿勢が重要です。
怒っていてもいいし、悲しくてもいい。どんな気持ちがあってもいいという大人の心構えは、自分の気持ちを受け止めてもらえた体験だけでなく、他者の気持ちを受け止めるひとつのモデルとしてみなせます。
解決を急ぐことなく、まずはこどもの喧嘩の内容に関心をもってみると、意外なこどもの価値観やこだわりが見えてきます。そのこどもの世界を大人が理解することで、こどもは自分が大人に受け止められたという体験をします。
喧嘩をしている時、こどもは悪いか悪くないかの2択でしかものを考えていないことがあります。喧嘩を止めて落ち着くように声かけても、「僕は悪くないのに!」と、自分が責められているように感じることがあります。
善悪の問題と、気持ちをコントロールする問題は別のものだと、毅然とした対応も重要です。
「君がイライラした理由は彼がちょっかいをかけたからかもしれない。でもそのイライラをどうするかは、君にしか考えられないし、君が頑張るしかないよね。」
喧嘩をとめることを意識しすぎると、かえってこども達の気持ちに感心がいかず、こどもの不安や不満がふえてしまいます。喧嘩そのものに関心を示し理解しようとする態度が、最終的にはこどもを落ち着かせるために重要です。