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【臨床心理士講座】感情を味わう2〜感情の使い方〜

保育士のような仕事は感情労働と呼ぶことがあります。感情が動かされやすく、精神的に疲弊しやすくなります。単に感情的になりやすいだけでなく、保育の現場ではその自分の感情を上手くこどもに伝えることも必要になります。このノートでは、こどもに仕返しをしないために大人が気を付けることをまとめています。

感情はこぼれてしまうもの

 保育や子育ては、大人がイライラしたり不安になったりします。当然、それをそのまま伝えてしまっては、こどもを傷つけることになってしまいます。

 私たちはこどもに仕返しをしてはいけませんしかし、どれだけ気持ちを圧し殺しても、イライラや不安はこどもに伝わるものです。もしかしたら、必死に自分の気持ちを圧し殺している私たちの姿は、こどもにとって、何を考えているかわからない不気味なものに写っているかもしれません。

感情を味わう

 「ああ、いま自分はイライラが伝わってるやろなあ」と開き直ることが重要です。
でも、繰り返しますが、感情をこどもにぶつけていいわけではありません。前回のノートで、感情を味わうということを書きました。その延長線で、こどもとの関係を味わうことが重要です。

「どうしてこうなってしまうんだろう」
「こうするしかない」
「こうするべきなのに」
などなどと、考えてもうまくいかない時はうまくいきません。

 「イライラしているけど、自分はどうしようとしているのかなあ、ふむふむ、なるほどこんな風な態度でやるのか、ああ、こどもがこんな感じで返してきたぞ、自分はどう感じるかなあ」

 もちろん、ここまで他人事ではいてられませんが、これくらいのイメージで、人と自分との関係を味わうことができるようになれば、感情をうまく使ってこどもと関われるようになります。この続きは次回のノートにまとめたいと思います。

笑う親子

関係を味わうためには?

 これまでのノートやブログでも繰り返してきましたが、人は抱えられることなしに人を抱えることはできません関係を味わうためには、ちょっと否定的な関係になってもおおらかに受け止めてくれる環境が必要です。
保育園や家庭の雰囲気は、基本的には暖かいけれども、ぎすぎすしたり、暗くなっても大丈夫という態度でいられるでしょうか?

 そのために、関係が続けられなくなりそうな否定的な状態になったら、お互いを否定することなく適切に助言や援助が入るでしょうか?(ここでいう助言や援助は、何かをする、させるではなく、一緒に考えることです。)

 「それでいいのだ」という基本的な態度と、「なにかあったら支え会う」という基本的な配慮が、豊かな感情の交流には必要です。