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【臨床心理士 講座】感情を味わう〜感情の使い方〜

保育士のような仕事は感情労働と呼ぶことがあります。感情が動かされやすく、精神的に疲弊しやすくなります。単に感情的になりやすいだけでなく、保育の現場ではその自分の感情を上手くこどもに伝えることも必要になります。このノートでは、まず気づいた自分の感情を味わい、冷静に対処する方法を考えます。

感情に気づいたら

前回のノートでは、あなたが感じていることは、こどもが感じていることかもしれないと書きました。それはどちらが先かはわかりません。それでもあなたがイライラしたり、不安になったりしているとしたら、もしかしたらこどもも同じ気持ちかもしれません。

そんな風に私たちはお互いに理解を深めていきますが、激しい感情を抱いているとなかなか冷静に対処できず、こどもに辛く当たってしまいます。まずは私たちが自分の気持ちを抱えられるようにならなければなりません。

感情といっても、それは頭や心のなかにあるものではなく、体として現れています。自分の体の感じに意識を向けることで、自分の感情を味わうことができます

感情を味わう

感情表現

本当にイライラしたり不安になっているときに、自分の体に意識を向けようとしても上手くはいきません。日頃から練習をしておく必要があります。

体の感じに目を向けるというのは、特別なことではなく、いまそのままの体を全体的に意識することです。
大事なのは呼吸です。呼吸に意識を向けて、ゆっくりと、体全体に染み渡るようなイメージをもちます。
私たちの意識は全体に保ち続けることができません。ちょろちょろと意識が動くのがわかります。その意識が動くままに体をながめます。手がむずむずするなあ。膝がくすぐったい。などなど。

体の感じ、体のゆらぎを確認してください。イライラしたり不安だったりするときは、どこか余計な力が入っていることが多いです。肩の力は抜けていますか?背筋は伸びていますか?
姿勢正しく、無駄な力は全部抜くイメージが大切です。慣れてくると、心が乱れても、体の緊張を抜くことで落ち着くことができるようになります。

感情を味わえる見本になろう!

落ち着かないこどもや、反抗的なこどもと接していると、私たちもイライラしたり不安になります。しかし私たちがそのストレスをうまくコントロールすることができれば、こどもも自分に感情をコントロールしてみようという気持ちがわいてきます。

これまでのノートのなかでも度々、不安やイライラなどネガティブな気持ちもこどもにとって大切な感情だという話をしてきました。当然ネガティブな気持ちは感じたくないものですが、いま感じていることを否定する必要はありませんそのためには、ネガティブな気持ちを感じてもいい、その感じを味わうことができるという安心感が重要です。

まず大人が、自分の気持ちを味わって、受け止めることができなければ、こどもは自分のストレスを抱えようとは思いません。

こどものことでちょっとでも不安になると、なんとかしなくちゃと思っていないでしょうか?そんなときこそ一呼吸おいて、自分の気持ちを味わってみてください。あなたが落ち着くことで、こどもも落ち着きやすくなります。

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この記事を書いた人

川北 一征

川北 一征

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。1988年生まれ。大阪府出身。大学院終了後、児童福祉施設の心理士として勤務。こどもの心理治療や保護者、保育士の相談業務に携わっている。二男の父。

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