保育の学び

子どもの言う事どこまで聞けばよい?我慢させて良い年齢とは?

 子どもは自我が芽生えると「あれをしたい!」「これをしたい!」と自分でやりたいことがたくさん出てきます。保育者は子どもがやりたいことを見守ったり、自分で出来るようにサポートするのが仕事でもありますが、実際のところ子どもの言う通りにできる場合とできない場合がありますよね。

 今回は子どものいうことをどこまで聞けば良いのか、我慢させて良い年齢はあるのかをお教えしていきます。

目次
子どもの言うことはどこまで聞く?
我慢させて良い年齢は?
まとめ

海辺の親子

子どもの言うことはどこまで聞く? 

 子どもの自分でやりたい気持ちや、今なにをしたかったなどの気持ちを傾聴することはとても大切です。その気持ちに寄り添って、子どもが満足できるような行動をできるのが一番良いのですが、タイミングや場面によっては子どもの意見を取り入れることができない時もあります。子どもの言うことはどこまで聞いて、受け止めれば良いのでしょう。

まずは、しっかり子どもの意見を聞く

 子どもがなにを伝えたかったか、どうしたいのかをしっかり聞きましょう。年齢によってはまだうまく言葉にできず、泣いて訴えたり、手が出てしまうこともあるかもしれません。子どもの気持ちが落ち着ける環境を整えて、どのように思っているのか聞くことを大切にしてくださいね。

話を聞いた上で、どこまで実現可能か子どもにわかりやすく伝える

 保育の現場では、子どもと一対一でゆっくりと触れ合える時間はそう多くありません。たくさんの子どもたちと触れ合っているからこそ、子ども一人ひとりの意見があり、それらを全て実現することは難しいです。子どもの「なにをしたい」「こうしたい」と言った気持ちを聞いた上で、どこまでならできるのかをわかりやすい言葉で伝えるようにしましょう。

 例として、粘土遊びをしていた子が大きな作品を作りたいのに自分の分の粘土だけでは足りなく「もっと粘土が欲しい!」と言っているとします。保育者は、どうして粘土が欲しいのかを聞き「大きい作品を作りたかったんだね。そうしたら、お友達から少し粘土を借りてみる?」「借りた粘土をちゃんと返すことも忘れないでね」「大きい作品を作るには時間がかかると思うけど、11時になったらお片付けをする約束だからね」と伝えて、子どものやりたいことができるような声かけと、遊びの区切りができやすいよう終わりの時間もしっかり伝えることを忘れないようにしましょう。

危険なことや、ルール違反は受け入れられない理由を説明する

 大人にとっては危ない!とわかっていることでも、子どもからすると「楽しそう!」と感じてしまい、危ないことをしようとしたり、ルール違反をしてしまうこともあります。

 危ない遊び方をしようとしたり、ルールのある遊びの中で自分が嫌だからという理由でお約束を破ろうとしたりしている場合「それは先生、良いよって言ってあげられないよ」としっかり伝えましょう。どうしてダメなのか理由を説明すると、子ども自身も理解しようと受け入れる姿が見られるはずですよ。

我慢させて良い年齢は?

 子どもが大きくなるにつれ「わがまま言わないで、少しは我慢して!」と思ってしまう場面もあることでしょう。子どもに我慢させて良い年齢はいつなのか考えていきます。

年齢で区切ることはしない

 子どもの成長過程はそれぞれスピードが違います。同じ年齢でも他者の意見を受け入れることができれば、できない子もいますよね。子どもの「やりたい!」「これがよい!」などの気持ちを実現させてあげられない場合は「もう○歳なんだから我慢して」というような年齢で区切るような声かけは行わないようにしましょう。

 我慢させても良い年齢は何歳だと断言することはできませんが、年を重ねるに連れて子ども自身が「今は我慢しよう」という気持ちが芽生えてくるはずですよ。

2〜3歳のイヤイヤ期は成長の一つ

 お話が少しずつ上手になってきて、自分のやりたいことを伝えられるようになってきた2〜3歳の子どもは、ちょうど「イヤイヤ期」と呼ばれる時期でもあります。自分のやりたいことしたいことをやって欲しくて泣いたり怒ったりする時期ですが、受け入れられない理由がある場合はしっかり説明しましょう。

 まだ小さいから言ってもわからないだろうと感じるかもしれませんが、2〜3歳の子でも大人が真剣に話していることは伝わるはずです。イヤイヤ期は成長過程の一つでもあり、年齢が上がれば少しずつ落ち着いてくるので大変な時期でもありますが「これも成長のひとつ」と思いながら接していくと良いでしょう。

4〜5歳以降は他者の気持ちを理解したり、我慢の先の楽しみを待つことができる

 4〜5歳頃になると、自分以外の相手の気持ちを理解できるようになってくる年齢です。自分はこうしたいけど相手はどうだろうと考えることができるので、保育者の説明もしっかり聞いて理解しようとしてくれます。

 また、子どものやりたいことを実現できなくても「これを終えたら、楽しいゲームをしよう!」といったように、我慢の先に楽しみがあると待つことができるので、ポジティブな声かけを行なっていけたら良いですね。

我慢させてしまうことがあっても「共感」は忘れない

 子どもの意見を聞いた上で、どうしても実現するのが難しい場合は、必ず「共感する気持ち」を忘れないようにしましょう。「〇〇をやりたかったんだね」「そっかぁ、こうやってみたかったんだ。楽しそうだもんね」といったように子どもの気持ちに共感すると「先生がわかってくれた」という満足感や信頼感が生まれます。信頼関係を築くのは保育を行う上でとても大切なことなので、子どもの話をしっかり聞いて気持ちを受け止めてあげましょう。

 

兄弟

まとめ 

 子どもの言うことをどこまで聞いたら良いのか、我慢させるにはどうするのか対応法が難しいですよね。子どもが「あれをしたい!」「こうしたい!」と自由に意見が言えるのは、保育者と信頼関係があってこそです。まずは子どもの話をしっかり聞き、どこまでなら受け入れられるのか、難しい場合は理由を話すことが大切です。自然と年齢を重ねることで子ども自身我慢することが身についてきます。一人一人の成長を感じながら、楽しみを持てるようなポジティブな声かけを心がけて上手に接していけたら良いですね。