保育の学び

【落ち着かない子】への対応とは?

 園生活では集団行動をすることが多く、子どもたちへの声かけも全体を通して伝えることがほとんどです。その中でもなかなか全体での指示が耳に入らず、落ち着かないタイプの子どももいますよね。集団で行動することが多い園生活の中で、落ち着かない子の行動は目立ちやすく、どのように対応したら良いのか悩む保育者は多いです。

  そこで、今回は落ち着かない理由や落ち着かない子への対応法をお教えしていきます。

目次
落ち着かない子とは?理由がある?
落ち着かない子への対応方法
落ち着かない子は発達面の相談も必要
まとめ

絵本読む子ども

落ちつかない子とは?理由がある?

 落ち着きがない子と一言で示しても、いろいろな様子の子がいます。園の中でも「こういう子への対応が難しい…」と感じる部分があるかもしれません。

落ち着かない子とは?

 園生活の中で落ち着かない子と保育者からよく報告の上がる行動は

・みんなが座っている時に立ち歩いてしまう
・自分の興味のあるものが目に入ると動き出してしまう
・衝動的な行動が多く、集団行動が苦手
・保育士の指示が通らず、ルールのある遊びが苦手
・集中力が持続せず、ころころと興味が変わる

上記のような行動を起こす子が「落ち着かない子」と感じることが多いようです。クラスに1人や2人はいるかもしれません。

落ち着かない理由は?

 そもそも子どもが落ち着かないのには何かしらの理由があります。どうして落ち着かない状況になってしまっているのか、子どもを観察してみましょう。多くの場合は保育室内の環境であったり、周囲のお友達との関係性が大きく関わっています。

 普段は落ち着いているのに、日によって集中力がなかったり、保育者の話を聞いていないという子もいます。子どもの状況はその日によって変化があり、家庭環境や体調によっても左右されるものです。今日はいつもと違うかも?と変化を見逃さないよう、日々の保育の中での姿を観察することが大切ですよ。

落ち着かない子への対応方法

 じっと座ることができなかったり、集中して話を聞くのが苦手な「落ち着かない子」への対応方法は様々です。子どもの落ち着かない理由を考えた上で、どのように対応するのが最善なのか保育者同士での話し合いも必要となってきます。

保育室内の環境の見直し

 まずは一日の大半を過ごす保育室内の環境を見直しましょう。このとき「子どもの目線の高さになって室内を見渡す」ことが大事です。子どもたちが集まる場所の視線の先に、興味がわくおもちゃが置かれていないか、壁面などの室内装飾も子どもにとっては刺激のひとつとなるので、飾る位置に注意しましょう。

 室内はなるべくシンプルにすることを意識し、整理整頓ができるよう綺麗な環境を整えていきます。

子どもの相性を見て、座る位置を設定する

 集まって絵本を読むときや、大事な連絡事項を全体に伝えるとき、落ち着かない子にとって座る位置がかなり重要になってきます。どうしても話したくなってしまう仲良しのお友達や、集中力が欠けてしまうような行動をとる子の近くに座ると、落ち着かなくなってしまうのは明白です。

 読み聞かせや連絡をするときなど「静かに聞いて欲しい時」は子どもの座る位置を落ち着ける場所に設定してあげるのも対応法の一つですよ。

集中する時間を徐々に伸ばしていく

 落ち着かず集中力に欠け、話を聞かずにいる子には「まず5分だけしっかりお話を聞こう」と声をかけます。5分集中してお話を聞くことができたら、少しずつ集中する時間を伸ばしていきます。スモールステップを踏み、徐々に集中力を上げていく練習をしていきましょう。

 集中した後には休憩として動いて楽しめるようなゲームをしたり、お友達と好きな話をする時間にしたりと「静」と「動」のメリハリをつけることが大切です。

見通しを持てるような声かけを行う

 座っていてもどこかソワソワしてしまったり、違うことに気が逸れてしまう子は「今何をすべきなのか」理解できていないこともあります。話の初めに「どのような話をしていくのか、どれくらいの時間がかかるのか、終わったら何をするのか」を簡単に説明しておくと安心して話を聞く環境になります。

 また、耳からの情報だけでなく視覚的な情報を効果的なので話をしながらホワイトボードに何をするのか分かりやすく絵にしたり、終わりの時間の時計を描いたり、伝え方や声かけを工夫してみましょう。

 

男の子

落ち着かない子は発達面の相談も必要 

 落ち着かない理由や、落ち着かない子への対応方法をお話ししてきましたが、継続的に落ち着かない様子が見られる子は「発達面での相談」が必要になることもあります。

ADHDや発達障害の可能性もある

 保育者が何度話しても子どもに伝わらなかったり、環境設定をしていても落ち着いて座ることが難しい場合は子どもに何らかの障がいがある可能性もあることを理解しておきましょう。日々の保育の中で気になる点があれば保育士間で共有し、家庭での様子も保護者の方に聞いていくことが大切になってきます。

 小学校就学に向けて、集団行動ができない、落ち着きがないという点は目立ちやすく、子どもの特性に見合ったクラスで過ごすことが子どもにとっても過ごしやすい環境です。障がいの有無に関わらず、保育者の関わり方や環境によって子どもの様子も変わってくるので、落ち着いて過ごせるような声かけを継続していきましょう。

 

まとめ

 落ち着かない子への対応方法をお話ししてきました。落ち着かない子と言っても、どのような行動をするのかは様々で、落ち着かなくなってしまう理由も複数考えられます。子どもとの関わりの中で「もしかしたらこれが原因かも?」と気づくことができるかもしれません。

 声の掛け方や、伝え方、環境設定などできる限りの対応を行い、保育者同士や保護者との連携も取りながら関わって行けたら良いですね。