子どもたちが楽しみにしている給食は、施設内で作っている園も多くありますよね。幼い子どもたちにとって「食中毒」はとても恐ろしいもので、ならないための対策が大事になってきます。今回は保育士の立場から食中毒にならないための大切なことや、もしなってしまったときの対応方法をわかりやすくお教えしていきます。
目次
>食中毒を起こしやすい菌となりやすい食品は?
>保育士として食中毒を防ぐポイント
>食中毒の症状と応急処置法
>まとめ
●食中毒を起こしやすい菌となりやすい食品は?
園の給食は栄養バランスを考えて、たくさんの食材を使用しています。よく食べる食品でも調理方法や器具の使い方によって、食中毒になりやすいものもあるので、注意しましょう。
サルモネラ菌
十分加熱できていない肉、魚、卵などが原因となり、乾燥に強く熱に弱いのが特徴です。生卵、オムレツなどの卵の加工品、牛肉、鶏肉のたたきなどは注意が必要な菌です。
腸炎ビブリオ
海水に住む魚や貝類が原因となる食中毒です。園で生魚等は出ないと思いますが、刺身や寿司を食べるときは注意が必要です。
黄色ブドウ球菌
人の皮膚や口、鼻の中にいて傷などを触った手指から感染するものです。手作業で調理するときは注意が必要で、熱に強い毒素を持っているので加熱しても食中毒を防止するのが難しいこともあります。おにぎりや調理パンを作るときは素手で作らず、手袋をつけるなど対策が必要になってきます。
カンピロバクター
生野菜や、加熱不十分の肉(特に鶏肉)が原因でなる食中毒です。乾燥に弱く、加熱すれば菌は死滅するので焼き加減に注意しましょう。給食として出る、鶏の唐揚げや焼き鳥丼など中までしっかり火が通ってるか確認が大事です。
腸管出血性大腸菌(O157やO111など)
加熱不十分の肉や生野菜などが原因になります。熱に弱いので、しっかりと加熱しましょう。子どもも好きなハンバーガーやサンドイッチなどで食中毒になった例があります。
ウェルシュ菌
加熱調理後、長時間常温で置いておいたときに起きやすい食中毒です。調理後に粗熱を取ったら冷蔵庫に保存したり、再加熱する際はしっかりと加熱することが大事です。カレーやシチューで起こりやすい食中毒なので注意しましょう。
●保育士として食中毒を防ぐポイント
食中毒が起こりやすい菌や、なりやすい食品を理解した上で、保育士として食中毒を防ぐにはどうしたら良いのかいくつかのポイントをおさえておきましょう。
配膳するとき
調理師さんが作ってくれた給食を配膳する前に、しっかりと手洗いを行います。手洗い場でもタオルは共用せず、ペーパータオルなどを使用すると良いでしょう。配膳する食事は清潔なテーブルやワゴンに置き、ゴミ置き場から離すことが大事です。配膳時は保育士もエプロン、三角巾を着用し事前に爪は短く切っておくことを忘れないようにしてください。
食事中
配膳が終わり、給食を食べ始めたら子どもたちがそれぞれ食べ進めるのを見守ります。子どもが他の子とスプーンや箸を共有しないか見守ったり、落としてしまったときは新しいものに交換しましょう。床に落ちた食べ物も、子どもが触ったり再び口にしないよう、タイミングを見て綺麗に掃除するよう心がけると良いですね。
食事後
食事後は子どもたちの口周りや手指を綺麗に拭きます。食事を終えた食器類は早めに片付け、使用したテーブルや椅子も綺麗に拭きましょう。床の食べこぼしもしっかりと拾い、清潔を保てるよう注意することが大事です。
●食中毒の症状と応急処置法
上記した通りに食中毒が起こらないよう対策を行なっていても、万が一、食中毒が起きてしまった時のために症状と応急処置法を理解しておきましょう。
主な症状は「腹痛」「吐き気」「嘔吐」「下痢」
食中毒の症状として出やすいのは腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸症状が多いです。菌の種類によっては潜伏期間などが異なるので、すぐに食中毒だと決めることができない場合もあります。なかには、発熱や頭痛を伴うものもあるので風邪と間違われたりする可能性もあるので、注意しましょう。複数人が同じような症状が出ている場合は食中毒を疑い、速やかな処置が必要となってきます。
脱水症状を防ぐ
嘔吐、下痢を繰り返すと脱水症状が起きやすくなります。そのため、こまめな水分補給が大切です。冷たい水や清涼飲料水などは、腸への刺激が強いので与えず、常温の水や、経口補水液を飲ませます。
吐物による窒息を防ぐ
症状として嘔吐がある場合、吐いたものが気管支につまり、呼吸困難を起こしたり肺炎を起こす危険性があります。寝かせているときは必ず仰向けで、顔を横に向け、吐物による窒息を防ぎましょう。
症状が悪化、回復しない場合はすぐに病院へ!
食事後に
「10回以上の嘔吐や下痢」
「意識がはっきりしない」
「尿の量が減っている、または12時間以上出ていない」
「血便が出る」
などの症状がでたら、すぐに病気を受診しましょう。園内でできる対応はあくまで応急処置なので、一度医療機関にかかると安心できるはずです。
●まとめ
食中毒にならないためにも、原因となる菌や食品、気をつけるポイントをおさえて保育を行うことが大切になってきます。保育士の一つ一つの注意で、子どもの健康を守ることができるのです。もしかして食中毒かも?と思ったら、その日の献立を確認し、症状が落ち着くように対応していきましょう。
なによりも「清潔を保つ」ことが大事になってくるので、改めて食事環境や自身の身の回りを確認してみてくださいね。