保育の現場では「子どもの気持ちや個性を大切にし、成長を促す」ことがとても大事です。
子ども自身の気持ちを育てて、自己肯定感を高める、自尊心を育てていくためには「集団保育の中でも子ども一人ひとりと向き合うこと」が重要になってきます。
ここでは、自尊心が育つ保育とはどのようなものか、子ども一人一人と向き合う難しさなど、保育現場のリアルな場面が浮かぶようなお話を交えて、わかりやすくお伝えしていきます。
目次
>子どもの自尊心を育てる必要性とは?
>子どもの自尊心が育つ保育とは
>集団保育だからこそ、個々と向き合う難しさ
>まとめ
●子どもの自尊心を育てる必要性とは?
そもそも「自尊心」とは「自身を優れた存在、価値がある存在であると感じること」で、自己肯定感やプライドとほぼ同じ意味のものです。簡単に言うと「自分は大切な存在だ」「自分自身の気持ちを尊重しよう」と思える心のことを指します。この「自尊心」を育てるには、幼少期での体験が重要になってくるのです。
自尊心が育てば自分自身を大切にできる
子ども自身が「自分は誰かにとって大切な存在なのだ」とわかれば、自分自身を大切にすることができます。自分の気持ちを大事にすることで、自己肯定感が高まり、自信をつけて何事にもチャレンジできるようになるでしょう。また、自分だけでなく身近な人やものに対しても優しい気持ちになれるので「自分も他者も大切な存在だ」と理解できるようになってきますよ。
自分だけでなく他者の気持ちも理解しようとする
自分の気持ちを大切にできると、気持ちにも余裕ができるので、他者に対しても
「どうしてそう思ったんだろう?」
「どうしたらお互いの気持ちを理解し合えるのかな?」
と考えることができるようになります。自分の気持ちばかりを押し付けるのではなく、他者の気持ちを受け入れることもできるようになってきますよ。
精神状態が安定する
自尊心が育つと、自分の気持ちを大切にすることができるので精神的にも安定してきます。失敗してしまっても「自分はダメだ」と激しく落ち込む状態が続いたり、自分自身を傷つけようとすることが無くなるでしょう。
精神状態が安定することで、日々の生活やコミニュケーションなどを円滑に進めていくことが出来るので、幼少期での自尊心を高める体験は成長していく上で大切になってきます。
●子どもの自尊心が育つ保育とは
自尊心を育てることの大切さを理解したところで、それをどのように保育に取り入れていくのかが考えどころですよね。実際の保育現場では子どもの自尊心を育てる大切な場面がいくつも出てきます。最低限「これだけは大切にしよう!」と意識して保育を行うと良いでしょう。
子ども一人ひとりの気持ちを受け止める
子どもたちはそれぞれ個性があり、当たり前ですが考え方も感じ方もそれぞれ違います。一つの物事に対して「この子はどう感じたのかな?」「どういう気持ちになったかな?」と考えたり、子ども自身から聞いて気持ちを受け止めることが大事です。
保育の現場でよく起きる「おもちゃの取り合いの喧嘩」などの場面では、両者の気持ちをしっかり聞いた上で解決すると「先生はしっかり気持ちを受け止めてくれる」と感じ、自尊心が育つ一歩になります。
他者への理解のかけ橋になる
子どもの年齢によっては、まだ相手の気持ちを理解するには難しいときもあります。他者の気持ちを考えられるようになるのは大体早くても4歳頃で、それ以前では子ども自身がうまく伝えられないといった場面も多く見受けられます。
そういった時に
「〇〇くんはこう思ったみたいだよ」
「〇〇ちゃんは今これで遊びたいみたい」
など他の子の言動が理解できるような声かけをして、かけ橋的存在になるよう保育をしていくと良いですよ。
安心できる場所になるよう環境を整える
子どもにとって「保育室は安全で安心な場所」と感じてもらえるように環境を整えましょう。お友達と喧嘩してしまった時など、少しクールダウンできるような場所を設けたり、日々を楽しめるような保育室になるよう子どもたちに合わせた環境を考えてみてくださいね。
達成感を味わえるようサポートする
保育をしていく中で、子どもたちの「出来た!」を大切にしてあげると、達成感を味わえるようになり自信に繋がります。
例えば給食が完食できるよう食事量を考えて提供したり、製作の時間では子どもが一人で作れるような題材を選んだりすると良いでしょう。成功体験がたくさんあると、自信を持って他のことに挑戦し、子ども自身の力になりますよ。
他者と比べない
子どものやる気を促すために「〇〇くんはお片づけ上手にできてるよ〜」などと明るく声かけするのは良いのですが、基本的には他者と比べず子ども一人ひとりの気持ちを優先してあげましょう。同調圧力を感じず、のびのびと過ごすことで子どもの気持ちも安定します。
●集団保育だからこそ、個々と向き合う難しさ
子どもの自尊心を育てるには「子ども一人ひとりの気持ちを受け止めることが大切」ということがわかりましたが、集団保育となると難しい点も出てきます。日々の保育を進めていかなくてはいけないので、しっかり向き合いたくても時間や環境などで叶わないこともありますよね。そういった時はどうするのが良いのか、臨機応変に対応する力が必要となってきますよ。
保育は「チーム戦」なので、保育者同士の連携を大切にする
保育を行う中で一番大事といっても過言ではないのが「保育者同士の連携を大切にする」ことです。複数の子どもを保育者数名で見守るのは大変な仕事ですよね。集団の中での個々の対応となると、さらに難しさがアップします。
だからこそ、他の保育者がどのような対応をしているのか把握し、自分は今どう動いたら良いのか、臨機応変に対応できるかが大事になってきます。
いざというときのために、同じ保育室にいるもの同士の連携は大切になってくるので話し合いを密に行うと良いですね。
意識して子どもの行動を見守る
集団保育をしていると、どうしても次の動きのために子ども一人ひとりとゆっくりやりとりする時間が取れません。そのため「今日はあの子と接する時間が短かったかも」と感じることもあります。
日々の保育の中でアンテナをピンと張って、意識的に子どもの行動を見守ることが大事です。時間の流れを大切にしすぎて子どもたちが置いてけぼりにならないよう気をつけましょう。
●まとめ
子どもの自尊心を育てる保育は、集団保育だからこそ難しい面もありますが、一つひとつの場面をしっかり押さえることで対応でき、子どもの気持ちの安定へと繋がります。
幼少期での成功体験や、自分自身を大切にしてくれたと感じる体験があることで自尊心が育ち、精神的に安定した大人へと成長していくことができるでしょう。子どもの気持ちを育てる保育の仕方を意識して、保育者同士の連携を大切にしながら過ごしていけると良いですね。