保育の学び

冬に流行る【感染症の予防と対処法】

 寒くなってきて、少しずつ冬の訪れを感じるこの頃。冬は子どもたちの中でも様々な感染症が流行る時期です。今回ここでは、どのような感染症が流行りやすいのか、予防方法と対処法をわかりやすくお教えしていきます。

 子どもたちが発症した時に慌てないためにも、事前にシミュレーションして備えておくために参考にしてみてくださいね。

目次
冬に流行る感染症は?
冬に流行る感染症の予防方法
感染性胃腸炎の対処法
インフルエンザの対処法
RSウイルスの対処法
溶連菌の対処法
まとめ

冬に流行る感染症

 季節の中でも冬は子どもの感染症が流行りやすい時期です。どのような感染症が流行るのか知っておきたいですよね。保育園や幼稚園などで流行りやすい感染症をお教えします。

感染症胃腸炎

 例年11月〜2月ごろに流行る「ノロウイルス」は子どもたちの中でも流行りやすい感染性胃腸炎です。感染力が非常に高く、10個〜100個という少量のウイルスでも集団感染しやすいのが特徴です。主な症状は嘔吐、下痢、腹痛での発熱は軽度といわれています。潜伏期間は24時間〜48時間です。症状が1日〜2日続いた後、回復に向かいます。

インフルエンザ

 インフルエンザウイルスに感染することによってなる病気で、例年12〜2月ごろに感染のピークを迎えます。主な症状は38℃以上の発熱、関節痛、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感の他にも風邪症状に似た喉の痛みや鼻水、咳などもみられます。風邪に比べて急激に症状が出るところが特徴です。

RSウィルス

 RSウイルスは呼吸器の感染症で、2歳までにはほぼ100%の子どもが少なくとも一度は感染するといわれています。主な症状は発熱、鼻水、咳です。軽度で済むことが多いですが、初めて感染した場合や1歳未満は症状が重くなりやすく、酷い咳やゼーゼーした呼吸音等があれば入院する可能性があります。

溶連菌

 溶連菌は溶血性連鎖球菌の略で、細菌が主に喉に感染し、咽頭痛や発熱、発疹等の症状が出ます。下が苺のように赤くぽつぽつし、喉はかなり赤く、飲食するのが大変になる病気です。

頭を抱える子ども

冬に流行る感染症の予防方法

 上記の4つの感染症を予防するにはどうしたら良いのでしょう。どの感染症も共通する部分が多いので、予防策として実践してみてください。

早寝早起きなど規則正しい生活をする

 基本的には、早寝早起きをする、食事をしっかりバランス良く摂るなどの規則正しい生活を心がけましょう。生活リズムが崩れてしまうと免疫力がさがり、感染症にかかりやすくなってしまいます。

手洗い、うがい、換気をこまめに行う

 感染性胃腸炎は、感染した人の吐物や排泄物から感染し、それらに触れた手がさらに感染を広げます。インフルエンザ、RSウイルス、溶連菌は接触感染や飛沫感染が多くなります。そのため手洗い、うがいはこまめに行い、清潔を保ちましょう。空気がこもってしまうのも感染症が流行る原因になるので適度な換気を行ってください。

室内の湿度に注意する

 冬は乾燥しているので、空気中が乾燥していると感染症にかかりやすくなります。湿度が40%以下になるとウイルスが活性化してしまうので、快適な湿度である40%〜60%程度になるよう加湿し調節しましょう。

予防接種がある感染者は予防接種を行う

 冬に流行りやすい感染症のうち、インフルエンザは予防接種があり、接種していると発症を防ぐとともに重症化を防ぐことができます。子どもは急性脳症を起こす可能性もあるので、安心のために予防接種をすることが大事です。

感染性胃腸炎の対処法

 感染症胃腸炎は、素早く対処することで二次感染を防ぐことができます。

汚物を処理するときは、手袋、マスク、使い捨てエプロンを着用し、直接触れない
消毒用アルコールは効かないので、次亜塩素酸ナトリウムか塩素系漂白剤で消毒をする
汚物処理で使ったものは袋を二重にして密閉する
処理後は手洗いうがいを行い、可能であれば衣類も着替える
嘔吐が続いている間は絶飲食。落ち着いてきたら経口補水液をひと匙ずつのんことから始める
脱水症状が強い場合は受診し、点滴等を行う

体温はかる子ども

インフルエンザの対処法

 次にインフルエンザの対処法です。インフルエンザが疑われる場合は受診するのが一番安心できます。

発熱が12〜24時間ほど続くようなら発症から48時間以内に病院を受診し、検査をする
 (発熱し始めだとウイルス量が少なく、偽陰性になる可能性もある)
検査でインフルエンザ陽性だった場合、医師の指導のもと薬を服薬する
発症から48時間以内に内服すると、1〜2日ほどで症状が軽くなる
脱水に注意し、こまめに水分補給を行い食べられるものを食べる

RSウイルスの対処法

 RSウイルスは発熱や咳症状が強く出るので、呼吸に変化がないか気にかけることが大切です。特効薬はないので対症療法を行いながら回復を待ちます。

発熱が続き、咳症状がひどい場合は受診する
 (RSウイルスの検査は1歳未満が保険適用のため、1歳以上は検査しない場合もある)
二次感染を起こさないためにも、症状がある人を看病する際はマスク着用、手洗いうがいを徹底する
咳がひどい場合は吸入を行う
就寝時は上半身を高くし呼吸が楽になる姿勢をとる

溶連菌の対処法

 溶連菌は喉の痛みや発熱があるので、風邪と間違われることがあります。症状が長引くようなら受診しましょう。

溶連菌と診断されたら、処方された抗菌薬をしっかり飲む
内服後1〜2日で症状は落ちつくが、処方された抗菌薬は必ず最後まで飲みきる
咽頭痛がひどい場合の食事は、消化によく喉に優しいものを摂る
水分補給はこまめに行い、脱水症状に気をつける
感染してから1ヶ月以内は合併症(腎炎、リウマチ熱)を発症する可能性もあるので体調に気をつける

まとめ

 冬に流行りやすい感染症を4つご紹介しました。感染症の予防のために規則正しい生活を心がけ、万が一発症した場合はすぐに対処できるよう参考にしてみてください。どの感染症も子どもだけでなく大人にも移るものなので、気をつけてくださいね。