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【臨床心理士講座】友達と一緒に遊ばない子との関わり方〜こんな子いませんか#4〜

友達と遊ぶことでこどもは社会性を身につけていきます。しかしそのためには、まず自分を理解してくれる大人の関わりを通して、人と関わる楽しさを知る必要があります。保育園や幼稚園で他児と関わろうとせず、独りでいることが多い子について、その理由や対応について書きますので、少しでも日々の保育の参考になれば幸いです。

友達と遊ばない子の様子

 外で遊ぶにしても部屋で遊ぶにしても、他児と関わらず、独りで過ごしている子はいませんか。プラレールなど、周期性のある玩具が好きかもしれません。他児がその子に関わろうとすると、全く関心を示さなかったり、拒絶したりします。極端な場合は、他児を攻撃したり、自傷したりするかしれません。

この様な子と関わっていると、生活において支障がなかったとしても、このままでいいのかと心配になってしまいます。

なんでそうなるの?

 流れについていけない子(ノート1)でもふれていますが、人に関心を向けることが苦手な子がいます。人の気持ちの動きにも鈍感で、関心を向けることが苦手です。

 他人の気持ちに鈍感なこどもは、自分の気持ちにも鈍感です。なにか不快だという感じはあっても、これはイライラしているなあとか、いれは寂しいなあというような、具体的な感覚に乏しいことがよくあります。

 この様な子は、自分が考えていることと違うことが起こると、とたんに不安になります。そしてその不安を心にとどめることも苦手です。また、誰かに頼ることも苦手なので、安心できる見通しがたちません。

 不安に対処できないことで、ますます人との関わりに消極的になってしまいます。

男の子と赤ちゃん

対応方法(考え方)

 人と関わる気持ちを育むためには、自分の気持ちを理解することが大切です。そのためには、関わる大人がこどもの気持ちを汲み取り、伝えていくことが求められます。

 そもそもこどもは、大人の関わりによって自分の気持ちを理解するのですが、なかにはその積み重ねが苦手なこどもがいます。根気強く関わりながら、イライラなどの否定的な感情はそれ一緒に克服していく体験を言葉とともに積み重ねていくことが必要です。こどもは自分の感情を同定しそれにそくした適切な行動がとれるようになると、自分の感情に余計な不安を感じなくてもよくなります。自分の感情に不安を感じなくてもよくなったこどもは、想定外な行動をとる他児とも関わることができるようになります。

 こどもは自分の感情を抱え安定していられるなら、新規な刺激を求め他児との関わりも積極的になっていくはずです。
しかし失敗もとうぜんあります。自分の気持ちを図り、守ってくれる大人の存在を経験し積み重なっていれば、大人のもとに帰ろうとします。

 あなたがそんな大人としてこどもに求められた際は、こどもの期待に可能なかぎり応え、こどもの感情を伝えつつ一緒に克服していく態度が再び求められます。