保育の学び

子どもの質問攻めに保育士はどう対処する? すぐに使える5つのポイント

 「ねぇねぇ先生、あれってなに?」「どうして、そうなってるの?」「なんで? なんで? 教えて、教えて」と、子どもの質問攻めにあった保育士さんはいらっしゃるのではないかなと思います。子どもの質問攻めに保育士はどう対処するのがよいのでしょうか?

 この記事では、子どもの質問攻めに対処する5つのポイントや3つのNG、そして質問攻めの理由などを取り上げています。保育現場ですぐ使えるセリフ例もあります。質問攻めにあって困った人、今まで小さいクラスばかりだったけど今度は幼児クラスで不安がある人は、参考にしてみてください。

目次
子どもの質問攻めに保育士はどう対処する?
【子どもの質問攻め】すぐに使える5つのポイント
【子どもの質問攻め】保育士が困ったシーンの対処法
【子どもの質問攻め】保育士が対処する3つのNG
【子どもの質問攻め】理由をわかりやすく解説!
まとめ

子どもの質問攻めに保育士はどう対処する?

 子どもの質問攻めには「なんでだと思う?」「なんでだろうね」とすぐ対処しましょう。
子どもは今知りたいという気持ちを持っています。なので、質問されたその時に答えてあげることが、子どもとの信頼感につながるからです。
 また、子どもが質問攻めをするときの「なぜ?」には2つのポイントがあります。

目の前のことなどに疑問を持ってきいてくる「なぜ?」

 「目の前のことなどに疑問をもってきいてくる」は、「どうしてそう思うの?」と聞くことで子ども自身が考えているのかがわかります。
それは自分で考える習慣が身に付くということでもあります。

目の前の大人が自分に対してこたえてくれるのがうれしい「なぜ?」

 「大人が反応してくれることに対する場合」は、会話(コミュニケーション)があることが嬉しいのです。

保育士:「なんでだろうね」
と聞いてみて

子ども:「うーん、なんでかなあ」
子ども:「なんでだろ、わかんない、先生は?」
 という返事の場合が返ってきたとします。
 その時は
保育士:「いっぱい考えていてすごいね」
保育士:「いろいろ気になるんだね」
と認める言葉がよいでしょう。

笑顔の女性と子どもの後ろ姿

子どもの質問攻めにすぐ使える5つのポイント

 こんな悩みはありませんか?

「知っていることならまだしも、知らないことには答えてあげられないし・・・」
「あんまりにも変な答えをいって、保護者に伝わったらどうしよう・・・」
「子どもにもわかりやすく説明するのが苦手・・・」

子どもの質問攻めに対処する5つのポイントを押さえておけば大丈夫です。

ポイント① すぐ答える

 「それは○○だよ」「△△だからだよ」と答えられるものであれば、短く、でもわかりやすく答えてあげましょう。
「今しらべてみるね」と、図鑑やインターネットを使って答えてあげるのもよいですね。

 また、紙にかきながら説明することもおすすめです。しくみや名前などは、かいてあげるとピンときやすい子も多いです。ぜひ、答えるときには紙とえんぴつを用意してみましょう。

ポイント② 質問返しをする

 保育士から子どもに「なんでだと思う?」と聴くこともオススメです。その理由は、子どもが何か知りたいのか追求できるから。子どもも聞いてもらってやりとりに満足しやすいです。なにより質問攻めが終わりやすいので、ぜひやってみましょう。

ポイント③ 子どもに寄り添った返事をする

 「どうして○○なの?」と聞かれたときに、「どうして○○なのか、気になるんだね」と答えてみましょう。
この時のポイントは、子どもが使った言葉をそのままマネすることです。

「どうして朝ごはんを食べるの?」 → 「どうして朝ごはんを食べるのか、気になるんだね」
「なんでこれは動いているの?」  → 「なんでこれが動いているのかな、って思ったんだね」

 そうすることで、子どもは「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じることができます。それが身近な大人への信頼感につながっていくのですね。

ポイント④ 質問したことを褒める

子どもが質問攻めをしてきたときに、いつでもつかえるのが「褒める」です。

「どうして車は動くの?」  → 「そんなことに気がつく君はすごいなあ」
「なんで夜は暗くなるの?」 → 「たしかに! すごいいい質問だね」

 質問という自分の行動が誉められて子どもの自己肯定感がUPします。そして、自分を認めてくれた身近な大人への信頼感も同時にあがるので、ぜひ褒めていきたいですね。

ポイント⑤ わからない時は「わからない」でOK

 保育士も知らないことはたくさんあります。そして、正確に答えが知りたい子も当然いるでしょう。
時には「先生もわからないなあ」「先生も知らないことなんだ」と正直に伝えることも大切。子どもの質問にまっすぐに向き合う大人はかっこよく見えること間違いなしです。

 その後「本で調べておくね」「他の先生にも聞いてみようか」と次の手段を一緒に伝えることも大切です。
せっかくの知的好奇心や学習意欲の芽。大事に育てるためにも、アフターフォローも忘れずに。

困った女性

子どもの質問攻めに保育士が困ったシーンの対処法

 保育中にありうる困ったシーンをまとめてみました。ぜひ対処法を参考にしてみてくださいね。

何度も同じような質問をする

 「どうしてそこに車があるの?」「荷物を運んでいるんだよ」と質問をしてくる子。
保育士は答えてあげますが、しばらくすると「車はどうしてあるの?」と何度も同じようなことを言う子がいます。
質問の答えが知りたいのではなく、大人との会話(コミュニケーション)をしたい気持ちが強いのかもしれません。

 時間や周囲の様子が大丈夫であれば、その子の言葉自身に対する会話(「どうしてそう思ったの?」「車の不思議に気がついてすごい!」など)で答えてあげると自然と自分で質問を終わらせることが多いです。
ですが、保育士はほとんどの場合大人数の子どもたちを保育しています。一人の子だけにかまっていることは難しいかもしれません。
 そのときは「いろいろなことが気になるんだね」としっかり受け止めた上で「先生も気になるけど、お仕事があるからまた教えてね」とはっきりつたえることも大切です。
言われた直後はしばらく話しかけてくるかもしれませんが他の遊びに誘ったり、話題を変えることで質問攻めではなくなることが多いですよ。

答えのない質問

 「あの人どうして歩いているの?」「どうしてこの車は白いの?」など、はっきりとした答えが出せないこともあると思います。

そんなときにはぜひ「質問を返す」や「褒める」などが有効です。
「どうしてあの人は歩いていると思う?」
「この車の色が気になるぐらい、車がすきなんだね」

 きっとすぐに答えてくることで、「この先生に聞いてもらえた」という思いを持つことができますよ。

容姿などプライバシーに関わる質問

 「あの人はどうして太っているの?」「なんで肌が黒いの?」「車椅子に乗っているのはなんで?」など、容姿やプライバシーに関する質問も意外と多いですよね?

 そんなときは「気になっちゃったんだね」と小さな声でまずは答えてあげましょう。すぐに答えない場合、何度も聞いてくる可能性があるからです。
またできればその人から離れた場所で理由をきいてみるのもいいですね。この場合は、答えよりも話を聞くことや、一緒に考えることに効果があります。
「太っているのが気になったのはどうして?」
「肌が黒いのが不思議だと思ったの?」
「他の人は車椅子に乗っていないから気になった?」

 寄り添うことで、子どもの気持ちを大切に受け止めてあげましょう。そんな保育士の態度が子どもにもきっと伝わりますよ。

子どもの質問攻めに保育士が対処する3つのNG

 子どもの質問攻めは知的好奇心や興味関心が広がっている証拠。ですが、保育士の行動日1つで、大事な成長の芽も再び隠れてしまいます。
ここでは3つのNGを取り上げます。

NG①:質問を拒否、または質問自体を否定する

「それはもう言ったよ」「何回も同じことはお話しない」
保育士からこんな言葉がけを受けたら、せっかく持った興味がそれてしまいますね。
もう大人にいったり考えたりするのをやめようと思ってしまうかもしれません。

NG②:「あとで」など、めんどくさそうにこたえる

 保育士はいつでも子どもを気にかけながらも、保育日誌の記録や制作の準備もしています。
子どもの質問が続くとついつい「あとでね」「また今度ね」
と言ってしまいがちです。

 ですがこれも後回しにされた気持ちが残ります。子どもによってはますます質問をしてくる子もいるかもしれません。
どうしても時間が取れないときには「1つだけ先生答えてあげたいな。どれにする?」と質問を絞ってあげることも必要です。

NG③:「これは○○よ、わかった?」と、質問を先回りして答える

 子どもに聞かれる前に、保育士から答えを言ってしまうことです。
「これは○○というのよ」ここが動くからですこれもNGです。

 子ども自身が考えたり、不思議に思うことで知的好奇心や学習意欲が高まります。ですが、初めから保育士が答えを言ってしまったら、子どもはなにも感じることはできないでしょう。
普段の保育中にもしてしまいがちな「答えを先に言ってしまう」ことは、しないように気をつけたいですね。

遊んでいる女性と2人の女の子

子どもの質問攻めの理由について、わかりやすく解説

 一体なぜ、子どもは保育士に質問攻めをするのでしょうか?理由は「なぜなぜ期」と呼ばれる発達段階に子どもが入るからです。だいたい、2歳頃から4、5歳と幅広い年齢時「なぜなぜ期」に突入します。この時期になると、いろいろな理由や原因、目的、結果などがわかるようになるので、確認したい気持ちが出てきます。そうやって1つ1つを確認することで、身の回りのことをあらためて知っていく時期なんです。

 また、脳神経の発達的にも、3歳ごろから急速に脳神経細胞をつなぐ回路が形成されるために、いろいろなことが知りたくなるとも言われています。
つまり「なんで?」「どうして?」は子どもが成長する上でとっても大切な時期だということを教えてくれている証拠なんですね。

 身近にいる大人である保育士がすぐに応じてあげることで、よりより発達につながる、というわけなんです。

まとめ|気をつけるポイントと心構えを知って、信頼できる保育士になろう

 「一人の子がずっと質問してきて困る」「忙しいのに、自分もわからないことを聞かれて焦った」「子どもの質問にずっと答えないといけないの?」保育士として働いていれば1度は思うことかもしれません。子どもの質問攻めには、「なぜなぜ期」という発達段階が影響していること。

 保育士は、子どもの質問攻めに対して5つのポイントを押さえて応じることで、子どもとの信頼関係や自己肯定感を高めることもできます。

 子どもに向き合うことで成長に直結するやりとりができることはまさに保育士の醍醐味でもありますよね。忙しいお仕事ではありますが、かわいい子どもとの時間をぜひ楽しんでくださいね。