保育の学び

「噛みつき 」なぜ起こる?起きないようにする簡単な方法をご紹介

  乳児クラスでよくあるトラブルの一つが「噛みつき」ですよね。どんなに保育士が気をつけていても、子どもの噛みつきはあっという間に行われることが多いので対処するのも大変です。

 ここではなぜ噛みつきが起きるのかや、噛みつきが起きないようにするにはどうしたら良いのかを簡単にご紹介します。

目次
噛みつきはなぜ起こる?
噛みつきが起きないようにするには?
噛みつきが起きてしまったときの対応方法
まとめ

噛みつきはなぜ起こる?

 子どもの噛みつきには、しっかりと理由があります。
「噛みつく子=悪い」といったような考え方にならないよう、なぜ起きてしまうのか考えることが大切です。

言葉でうまく表せないからこそ噛みつきが起きる

 なぜ噛みつきが乳児クラスのトラブルとして多いのかは「まだ上手く自分の気持ちを言葉にできない代わりに口が出てしまう月齢だから」というところにあります。
 「使っていたおもちゃが取られた」
 「自分のやりたいことと違った」
など、子ども自身が「嫌だ」と思った時に上手く言語化できないからこそ、口が出てしまうのです。

噛みつきは成長するうちに自然に減っていく

 噛みつきのトラブルは1〜2歳半程度の子どもたちの中で起きやすいのですが、成長するにつれて自然と噛みつきは減っていきます。
喋れる年齢になると、自分の気持ちを言葉にできるようになるので噛みつくよりも「やめて!」「いやだ!」など言葉が出てきます。噛みつきのトラブルが多い時期は「もしかしたら、ずっとこうなの?」と思って悩んでしまう保護者の方も多いのですが、自然と減ってくるので心配しすぎないようにしましょう。

 

ママと話す女の子
 

噛みつきが起きないようにするには?

 言葉がうまく出ないからこそ、口が先に出てしまって噛みつきトラブルに繋がることがわかりましたが、起きないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?保育現場でできることを考えて実践していきましょう。

噛みつきやすい子には近くで保育士が見守る

 とっさに噛みついてしまう子には、自由遊びの時はなるべく保育士が近くで見守るのが一番安全です。噛みつきはほんの一瞬で起きてしまうので、近くにいないと防ぐことができません。設定保育の時や絵本の読み聞かせ時も、サッと保育士が噛みつきを止められる距離にいることが大事です。

密集した遊びを避ける

 どうしても子どもたち同士の距離が近くなると、噛みつきが起きてしまう率も上がります。そのため密集した遊びを避けるのも一つの手です。自由遊びのおもちゃの設定環境や、集まる時の子どもたちの座る位置など、保育士の死角になってるところはないか確認しましょう。決して噛みつきやすい子を「見張る」わけではなく、安心しながら穏やかに遊べる環境作りを心がけると良いですね。

 

膨れる女の子

噛みつきが起きてしまった時の対応方法

 どんなに気をつけていても噛みつきが起きてしまうことはあります。もし、噛みつきが起きてしまったときはどのように対応するのが最善なのか、日頃から子どもたちの様子を見守っていく中で対応方法を考えておきましょう。

気持ちを受け止めつつ、噛みつきがダメとその都度伝える

 子どもなりに理由があって噛みつきをしてしまうのですが、噛みついて相手を傷つけるのは良くないことですよね。
噛みつこうとしてしまったり、実際に噛みついてしまった時は、子どものその時の気持ちを受け止めつつも「お口でガブってするのはダメよ」とその都度伝えましょう。乳児でも保育士が真剣に注意しているのは伝わります。
 「おもちゃ取られて嫌だったんだね」
 「今は〇〇したかったんだね」
など、子どもの気持ちを代弁してあげることが大切なので、ただ注意するだけでなく気持ちを受け止めてあげましょう。

噛みついた子、噛みつかれた子、両者のフォローをしっかり行う

 噛みつきが起きてしまった瞬間、保育士がパッと両者の距離を離しますが、噛みつかれた子は驚きや痛さで泣いてしまうことが多いです。
噛みついた子への対応と噛みつかれてしまった子への対応を1人の保育士がやるのは大変なので、まずは噛みつかれた子の怪我の処置を他の保育士にお願いするなどフォローの仕方を考えましょう。両者の気持ちをしっかりと受け止めるためにも、その時の自分の役割を考え臨機応変に対応することが大事になってきます。

保護者にはありのままを伝える

 噛みつかれた側の子の保護者には、噛みつかれてしまった一連の流れをしっかり説明し、止められなかったこと、怪我をさせてしまったことの謝罪を誠心誠意行います。どのような状況だったのか伝えることで、保護者の方も我が子が怪我をしてしまった理由が分かり家でも子どものフォローができます。

また、噛みついてしまった側の子の保護者には噛みついた度に話すのではなく、時期をみて「実はこんなことがあって、お家ではどうですか?」と言った感じで話してみると良いでしょう。家でも噛みつきが酷くて悩んでいた、ということもあります。噛みついた度に「今日も噛みついてしまって…」と話すと保護者の方も「またか…どうしたら良いの?」と深く悩んでしまう原因にもなるので話す時にはタイミングを見計らうことが大切です。

首を傾げる女の子

 

まとめ

 今回は子どもの「噛みつき」についてのお話でしたが、乳児期では起こりやすいトラブルなので言葉よりも口が先に出てしまいやすい子のフォローの仕方を保育士間で共有しておきましょう。言葉がうまく出てくるようになると噛みつきも自然と収まってきます。近くで見守り、トラブルにならないよう、すぐ止められるように目を光らせるのも大事です。子どもの気持ちを受け止めて代弁してあげることで、気持ちも落ち着き笑顔で過ごせるようになるはずですよ。

子どもの行動心理については、こちらのページで臨床心理士が様々なケースを紹介しています。