保育の学び

なぜ湿度を高くするの?感染症との関わり

  寒い季節になると様々な感染症が流行り出しますが、感染症予防として「湿度を高くしましょう」という声を聞くことが多いですよね。空気の乾燥が気になるときは室内の湿度が低いのかな?と気になる方もいるのでは?小さな子どもたちが集団で生活していると、あっという間に感染症が移り広がりやすくなってしまいますよね。

 今回は湿度と感染症にはどのような関係があるのか、わかりやすくお教えしていきます。

目次
湿度と感染症は関係がある?
保育園内の感染症予防法
まとめ

湿度と感染症は関係がある?

 保育室内の環境を整えるため、各部屋に室温計と湿度計を置いているところも多いですよね。部屋の温度は「少し寒いかな?」と体感で気づいて調節することができますが、湿度はなかなか気づきにくいので、寒い季節は乾燥しやすい湿度になっていることもあります。室温だけでなく、湿度にも注意して確認することが大事です。

ウイルスは寒くて乾燥しているところで増える

 まず、ウイルスが増えて感染する仕組みを理解しておきましょう。ウイルスは低温、乾燥した空気中で増殖し、長時間漂います。その空気の中で過ごすことにより、口や喉にウイルスが侵入しやすくなり、風邪等に感染するのです。冬季に風邪や胃腸炎、インフルエンザなどの感染症が流行りやすいのは寒さで室温が下がりやすく、空気も乾燥しやすい時期だからこそということになります。

主湿度が低く乾燥していると、免疫低下の原因になる

 空気が乾燥していると、喉の粘膜が乾燥して血流低下を起こし、免疫低下の原因になるとも言われています。喉がイガイガしていると「乾燥してるかも?」と思ったら、湿度が低く喉の炎症を起こしやすい環境になっているからかもしれません。また、口呼吸をすると喉が乾燥し、冷たい空気が直接口に入ってくるので風邪を引きやすくなります。なるべく鼻呼吸を意識することで、喉の乾燥を防ぎましょう。

主室温20〜25°C、湿度40%以上が最適な環境

 湿度と感染症には大きな関わりがあるとわかったところで、感染症予防のためにも最適な環境を作ることが大事ですよね。まず、体が冷えると抵抗力が弱まるので、室温は20〜25℃になるよう暖房等で調節しましょう。暖房を入れると室内が乾燥しやすくなるので、湿度は40〜60%を維持することを心がけます。湿度が40%以下になると、ウイルスが広がりやすい環境になるので加湿することを忘れないでくださいね。

 

マスクの女性 

保育園内の感染症予防?

 子どもの1人が風邪をひくと、次々と同じような症状で風邪をひきやすいのが集団保育の現場です。子どもだけでなく保育士にも移ったり、ひどい時はクラスの半分以上がお休みすることもあるのが感染症の怖いところです。元気に過ごすためにも、園内でできる感染症予防をしっかり行いましょう。

基本は「手洗いうがい」「保温、加湿、換気」

 感染症を予防するための基本的な対策は、やはり「手洗いうがい」です。子どもたちが登園したら、まずは手洗いうがいを促し、手を拭くタオルも共有せず、個人のものかペーパータオルを使用しましょう。保育室内の室温、湿度も前述した通り最適な環境になるよう気をつけます。乾燥しないよう加湿器を利用したり、タオルを濡らして干すだけでも効果がありますよ。また、換気をして空気を入れ替えることでウイルスが漂っている空気を新しくできるので、時折換気することも心がけましょう。

衣類の調整に気をつける

 寒い日でも元気いっぱいの子どもたちは、保育室内でも走ったり体を動かして遊んでいますよね。室温が高めの保育室内では汗をかく子も多くいます。汗をかいたままの衣類でずっと過ごしていると、落ち着いた頃に体が冷えてしまうので、汗をかいたらタオルで拭き、着替えるように衣類の調整にも気をつけましょう。

体調不良の子と部屋を分ける

 朝は元気でも、急に体調を悪くするのが子どもです。日中、熱が出てしまったり嘔吐してしまったりと、感染症が疑われる場合には、元気な子どもたちと体調不良の子の部屋を分けるように準備しておくことをおすすめします。高熱が出てしまった場合、嘔吐してしまった場合などの対処法も事前に確認しておき、実際に起きた際に慌てないよう保育士同士で話し合うことが大事です。

湿度計

まとめ

 湿度と感染症の関わりについてお話ししてきました。湿度が低くなると空気が乾燥し、ウイルスが広がりやすい環境になってしまうということがわかりましたね。集団保育の中では、どんなに気をつけていても感染症は広がりやすいのが現状ですが、室温湿度に気をつけて、基本的な手洗いうがいを継続していくことが予防への第一歩となります。

 子どもたちが元気に笑顔で過ごせるよう、気をつけていきましょう。