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【臨床心理士講座】ごっこ遊び〜遊びの意味〜

こどもの遊びの意味を考える、こどもの世界がより深く理解できます。保育や子育てに直接役に立つことはないかもしれませんが、こどもの世界を知ることでより積極的にこどもと関われるようになるかもしれません。そんなきっかけになれば幸いです。

ごっこ遊び

何かの真似事をしたり、誰かになりきって遊ぶことは、こどもが社会性を培う上でとても重要です。

私たちが普段当たり前のようにこなしている社会生活は、言葉にして伝えるには限界があります。こどもは真似事を通じて身体で社会性を身に付けていきます。

こどもはよく大人のことを観ています。こどもは大人の鏡だなんて言うことがありますが、つくづくそうだと思います。時には真似してほしくないこともありますが、それは仕方のないことです。こどもを通して私たちも私たちの姿を知り、一緒に成長していきます。

遊び?お手伝い?

遊ぶ子ども

こどもはなんでも一人でやりたがります。そして大人がやっていることを自分でもやりたくなってしまいます。やろうとしてくれるのは良いですが、こうしてほしい、ああしてほしいとこちらが口をだすと怒ります。

ここで少しごっこ遊びを広く考えてみましょう。お手伝いもこどものごっこ遊びだと言えます。こどもの遊びなのだから、こどものやりたいようにやって当たり前。その結果はおおらかに受け止めてみるのも大事です。

それでもこどもはしっかりと大人の反応をみています。何が役に立ったのか、どうしたから誉められたのか、こどもは察していきます。
こうして自分なりの工夫の中で、こどもは家族のルールを身体で覚えていきます。 身体で覚えた生活の仕方は、こどもの生き方そのものでもあります。私とは何か、幸せとは何か、その答えを身体に刻みます。

ごっこ遊びで重要なこと

ごっこ遊びはこどもが垣間見た大人の世界を表現しています。決して大人がみている世界をこどもが再現しているわけではありません。積木のノートでも言いましたが、大人の考えや常識を押し付けない方が、こどものごっこ遊びは意味を持っていきます

むしろ私たちには気付けない私たちの社会の在り方を教えてもらうことがあります。時に大人はそんなこどもを「ませている」と表現します。しかしそうではありません。こどもの純粋な眼差しが、普段私たちが観ようとしていない矛盾を捉えているだけです。

よくも悪くも成長するにつれて、こどもはそんな矛盾に注意を向けなくなります。矛盾があっても気にならないのは、こんな矛盾がある世界でも、一応は安定した生活ができているからです。それでも矛盾は矛盾です。ごっこ遊びを通じて自分の世界を表現できるこどもは、自分の心の葛藤を発散することができます。
しかし自由に自分の世界を表現できないこどもは、遊びによって葛藤を解決できず、ストレスを抱えやすくなります

ごっこ遊びに参加するなら、大人はこどもを理解することに努め、こどもの世界の約束に従いながら、自由に振る舞うことが求められます。そしてこどもと同じ水準で葛藤し解決していくことで、大人自身も成長していくのです。

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この記事を書いた人

川北 一征

川北 一征

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。1988年生まれ。大阪府出身。大学院終了後、児童福祉施設の心理士として勤務。こどもの心理治療や保護者、保育士の相談業務に携わっている。二男の父。

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