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【臨床心理士 講座】やりすぎてしまうとき〜しつけで大事なこと〜

このノートでは、こどもや周囲の状況を考えずについついしつけをやりすぎてしまうときにつて考えます。しつけをしていると、その声かけがとまらなくなってしまったり、状況が違っているのに以前と同じような態度にこだわったりすることがあります。そういうときは、自分のコントロールができていません。やりすぎていないか、こだわりすぎていないか、自分自身を振り返ることが重要です。

やりすぎてしまう時の様子

パートナーや家族、知人からこうした方がいい、ああした方がいいと言われても納得できないときがあります。これまでの自分のやり方にこだわってしまいます。こどもが自分のやり方にのってこなくても、何とか自分のやり方で成功させようとして、しつこくやりすぎてしまいます。

また、こどもに怒りだすと、どこで話を切り上げていいかわからなくなり、必要以上に長い時間怒ってしまいます。ひどいときには、自分が何の目的で怒っていたのか忘れそうになってしまい、感情にまかせて思いついたことを言葉にしてしまいます。

どうしてそうなるのか

外で子供を叱る母親

自分のやり方にこだわってしまうのは、一度うまくいった経験を繰り返そうとしているのかもしれません。しかし、一度うまくいったからといって、次もうまくいくとは限りません。そのとき、柔軟にやり方をかえていければいいですが、元のやり方にこだわってしまうことがあります。

その背景には、自分を否定されたくないという気持ちが考えられます。一度うまくいった体験は、自分を認めてくれる大事な体験です。その自分を認めてくれた体験にしがみついてしまうのは、自分が失敗したら否定されるかもしれないという不安があるからです。
自分が否定されないために『やり方に固執してしまうと、徹底的にこどもが自分のいうことをきかないと納得できないようになってしまいます。

怒りだすととまらなくなる背景には、もしかしたら、怒っている自分自身も強烈に(もしかしたら理不尽なほど)怒られた経験があるからかもしれません。そのような経験があなたにあると、あなた自身が怒るのではなく、かつてあなたが怒られた誰かになったかのように怒ってしまいます。
あなたが怒っている状態じゃないので、あなたがコントロールできなくなってしまいます。

別の理由としては先程と同じ、自分が否定される不安が考えられます。こどもの態度や行動にあなた自身が傷つけられたと考えてしまうと、徹底的にこどもが自分に服従するまで攻撃したくなってしまいます。

対応方法(考え方)

しつけのためには、時にこどもを叱ることも重要です。しかし、感情に任せて怒ってしまうと、こどもが徹底的に服従するまで攻撃してしまうかもしれません。
そのようにしてこどもが育ったなら、こどもを支配した私たちの前では従順に振る舞っていても、一歩私たちの目から解放されると、今度はこども自身が支配者になろうとして、他人を傷つけてしまいます。

私たちは自分を守ろうとします。だからいつも、やりすぎてしまう可能性があります。まずはそのことを受け入れ、自分のやり方にこだわっていないか、自分でコントロールできているか、振り返る必要があります

基本、振り返りはひとりではできません。パートナーや家族、知人など信頼できる人に相談します。自分のやり方は筋道が通っているか?別のやり方はなかったか?これらのことを話し合うことで、こだわりを防ぎます。
私たちは自分の行動を自分でコントロールしていると信じて生活しています。そのため、自分でコントロールできているかどうか検討するのはとても大変です。

少なくとも『自分が感情的になっているときは、一度ブレーキをかけ気持ちを落ち着かせなくてはいけません。』それができず、怒ってしまうのであれば、コントロールができていないということです。

それから、何を目的に何を伝えようとして、こどもが最低限何ができていればよいのか明確になっている必要があります。単にこども悪いことをしたから怒るのだ!では、自分をコントロールできるとは言えません。当然、このことについても振り返りが必要です。

もし、『過去の傷つきがあって自分のコントロールができないのであれば、専門的な治療やケア』が必要です。自分が自分をコントロールできなければ、こどもがこども自身をコントロールできるようにしつけることはできません。まずはゆっくり自分と向き合ってください。

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この記事を書いた人

川北 一征

川北 一征

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。1988年生まれ。大阪府出身。大学院終了後、児童福祉施設の心理士として勤務。こどもの心理治療や保護者、保育士の相談業務に携わっている。二男の父。

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