毎年3月3日は「ひなまつり」。女の子の健やかな成長を願って祝う伝統的な行事です。
保育現場でも、おひなさまを飾ったり、うたを歌ったりすることで、子どもたちは日本文化に自然と触れることができます。
本記事では、ひなまつりの意味や由来、年齢別のわかりやすい説明方法、保育活動への取り入れ方などを、保育者・保護者向けに丁寧にご紹介します。
ひな祭りとは
ひなまつりは、毎年3月3日に行われる「桃の節句」として、女の子の健やかな成長と幸福を願う日本の伝統行事です。ひな人形を飾り、ちらし寿司やひなあられ、はまぐりのお吸い物など特別な料理で祝う風習が定着しています。
ひな人形は、昔の宮中の婚礼儀式や雛遊び（ひいなあそび）を模したともいわれ、家族や地域で「もうすぐお姉さん／お兄さんになる」節目を味わえる機会でもあります。
保育現場においては、季節の移ろいや文化を伝えるよい場となり、子どもたちに「成長を祝う心」「感謝の気持ち」を育むきっかけとなります。
ひな祭りの由来
諸説ありますが、ひなまつりの由来として主に次の２つが挙げられています。
1）中国の「上巳の節句（3月上旬・巳の日）」が日本に伝わり、紙の人形に穢れを移して川に流す「人形流し」の風習があったという説。
2）平安時代の貴族の間で、女児の遊び「ひいな遊び（ひな人形を用いたおままごと）」が行われ、それが江戸時代に「女の子の節句」として定着したという説。
このように、ひなまつりは「邪気を祓う」「成長を祝う」という異なる文化・儀礼が融合して形づくられた行事と考えられています。
子どもへのわかりやすい説明
2歳児向け
「きょうはひなまつりだよ。おひなさまっていうきれいなおにんぎょうをかざるんだ。みんながげんきにそだちますようにって、おいのりする日だよ。おいしいひなあられもたべようね。」
3歳児向け
「ひなまつりは、女の子がげんきにそだつようにおいわいする日だよ。おひなさまっていう、きものをきたおにんぎょうをかざるんだ。むかしから、わるいことがこないようにって、みんなでおねがいしてきたんだよ。」
4歳児向け
「ひなまつりは、女の子のけんこうとしあわせをねがう行事だよ。おひなさまは、むかしのおうさまとおきさきさまのかたちで、子どもたちをまもってくれるおにんぎょうなんだって。むかしの人は、紙のおにんぎょうにわるいことをうつして、川にながしてたんだよ。そうやって、げんきにすごせますようにってねがっていたんだよ。」
5歳児向け
「ひなまつりは、女の子がすこやかに大きくなれるようにおいのりする日だよ。おひなさまは、むかしのおうさまとおきさきさまのようすをあらわしたおにんぎょうで、だいじにかざって、子どもをまもってくれるっていわれているんだ。
むかしは、紙のおにんぎょうにわるいことをうつして、川に流す“ひなながし”っていうしゅうかんがあって、それがひなまつりのもとになったというお話もあるよ。いまはみんなでたのしくおいわいして、げんきにすごせるようにねがっているんだね。」
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ひなまつりは、女の子の健やかな成長を願う行事であるだけでなく、保育の場では「季節を感じる」「文化を伝える」「みんなで祝う」機会としても活用できます。
手作りのひな人形制作や、ひなあられ・菱餅の色の意味を簡単に紹介することで、五感を使った学びになります。
また、家庭との連携として「おうちではどんなお祝いをするか」をアンケートするなど、子どもたちが自分の家庭のことを振り返る機会にもなります。
さらに、男の子も女の子も参加できるよう「みんなでひなまつりごっこ」など“みんなの成長を祝う日”として捉えると、保育活動に柔軟に取り入れられます。
ひな祭りにちなんだ保育活動
- 紙皿や折り紙でひな人形制作（左右のバランスや色使いを意識して）
- 菱餅カラーの積み木・布・画用紙を使った色遊び
- ひなまつりの歌「うれしいひなまつり」の歌唱時間
- ひなまつりに関する絵本・紙芝居の読み聞かせ
- ミニおひなさまを飾った「季節のコーナー」づくり
- 「ひなあられ屋さんごっこ」などのごっこ遊び
- ひなまつりランチや給食と連動した行事食紹介
まとめ
ひなまつりは、伝統文化を子どもたちに伝える大切な機会です。
由来は諸説ありますが、春の節目に「元気で健やかに育ってほしい」という願いが長い時間をかけて形になってきたという点は共通しています。保育現場では、年齢に応じた伝え方と遊び・体験を通じて、子どもたちが“文化を楽しむ”だけでなく“自分の成長を感じる”機会にできます。今年のひなまつりは、子どもたちの笑顔と成長を祝う温かな時間にしてみませんか。
