新年を迎え2月に近づくと、街中でも鬼のお面や豆を見る機会が増えますよね。園での行事として、節分当日に豆まきを行うところが多いのではないでしょうか。
今回は子どもたちにとっては少し怖い「鬼」がなぜ節分に関係しているのか、豆まきをする理由などをわかりやすくお教えしていきます。ぜひ、保育に役立ててくださいね。
節分の日とは
節分（せつぶん）は「季節を分ける」という意味があり、本来は立春・立夏・立秋・立冬の前日を指していましたが、今では春の始まりである立春の前日（2月3日ごろ）を指すことが一般的です。
豆まきをして「鬼（おに）」を追い出す風習が有名で、「悪いものを払い、福を呼び込む」行事として、古くから親しまれています。
現代の節分では、「鬼」を“悪いこと”の象徴とし、子どもたちに「元気に春を迎えられますように」と願いを込めて行事を行う園も多くあります。
節分の日の由来
節分の豆まきの風習は、平安時代の宮中行事「追儺（ついな）」に由来するといわれています。
当時は、疫病や災いをもたらす鬼を祓うために、弓や桃の木の枝などで悪霊を追い払っていました。
その後、室町時代ごろから「鬼は外、福は内」と声を出しながら豆をまく習慣が広まり、民間でも定着しました。
豆をまく理由には、「魔（ま）を滅（め）する＝魔滅（まめ）」という語呂合わせもあり、炒った大豆を使うのが一般的です。地方によっては落花生や殻付き豆を用いる地域もあります。
子どもへのわかりやすい説明
2歳児向け
「せつぶんっていうのは、『おにはそと！ふくはうち！』っていって、こわいおにを そとに おいだすひなんだよ。
おにさんは、こわいことや いやいやを もってくるんだって。だから、おまめを ぽいってして、やっつけようね！」
3歳児向け
「せつぶんは、はるが はじまるまえの たいせつなひ。
こわいおにさんを おいだして、やさしいきもちや たのしいことが はいってくるように、『おにはそと！ふくはうち！』って いうんだよ。
おまめをまくと、おにが にげていくんだって。」
4歳児向け
「むかしから、にんげんのなかに『なきむしおに』や『いじわるおに』が いるっていわれていたんだって。
せつぶんでは、そんな おにをやっつけるために、みんなで おまめをまいて、いいことが はいってくるように おいのりするんだよ。」
5歳児向け
「せつぶんっていうのは、はるになるまえに、いやなことや こわいことを おににみたてて、おまめをまいて おいだす いにしえのぎょうじだよ。
おにには いろんなしゅるいがあって、『おこりんぼおに』や『さぼりおに』もいるんだって。
じぶんのなかの おにを おいだすって、かっこいいね！」
関連情報
節分は「季節の変わり目に、心と体を整える」という意味も込められています。
近年では、単に「鬼退治」を楽しむだけでなく、「心の中の鬼（怒り、わがまま、なきむし）」などに目を向け、自己理解や感情の整理をテーマに保育を行う園も増えています。
また、「節分＝怖い日」になりすぎないよう、年齢や個人差に応じて活動をアレンジすることも大切です。
豆アレルギーの配慮として、豆まき用のフェイク豆や新聞紙ボールを使う方法も一般的になっています。
節分の日にちなんだ保育活動
- お面づくり（鬼・福の神）
紙皿や画用紙を使って、鬼や福の神のお面を製作。個性豊かな表情を楽しむ。
- 豆まきごっこ（新聞紙ボールやカラーボール）
アレルギーに配慮し、新聞紙や布で作った豆で豆まき遊びを実施。
- 「心の中の鬼」工作
泣き虫鬼・怒りんぼ鬼など、自分の気持ちを振り返る製作活動。自己表現の機会にも。
- 節分の紙芝居や絵本の読み聞かせ
節分の由来や意味を知る絵本を通じて、優しい心を育む。
- 恵方巻ごっこ／恵方巻製作
ロール状に紙を巻いたり、フェルトで具材をつくって恵方巻を再現。食育にもつながる。
- 鬼退治ゲーム（輪投げ・的当て）
鬼の顔の的に向かって輪を投げたり、玉を当てたりして退治する遊び。
まとめ
節分は、子どもたちにとって“ちょっぴりドキドキ、でも楽しい行事”のひとつ。
鬼を怖がる子がいる一方で、自分の中のイヤイヤ鬼や泣き虫鬼に気づく大切な機会にもなります。
年齢や性格に応じた声かけや活動を工夫することで、節分を通じて「心を整える」「福を呼び込む」という意味をやさしく伝えることができます。
行事の楽しさとともに、思いやりの心も育んでいきましょう。
