お正月は日本の伝統的な食文化を体験できる大切な時期です。
園での食育活動を通して行事食の意味を知り、家庭とのつながりを感じられるきっかけを作りましょう!
1.年末年始の行事食とは
年末年始には「新しい年を健やかに迎える」「家族の絆を深める」といった願いが込められた食事がたくさんあります。
1-1.年越しそば
【特徴】
細く長い麺は「長生きできますように」という願いが込められています。
【意味】
一年の苦労や厄を「切る」ために、食べ終わる頃には新しい年を迎える準備が整うとされています。
【保育での取り入れ方】
紙ひもや毛糸を「おそば」に見立てて感触遊びに。実際のそば粉や乾麺を見せて、色や形を観察するのもおすすめ。
1-2.おせち料理
【特徴・意味】
- 黒豆
「まめに働く」「まめに暮らす」という意味。黒い色には邪気を払う力があるとも言われている。
- 数の子
たくさんの卵があることから「子孫繁栄」の象徴。
- 昆布巻き
「よろこぶ」に通じる縁起物。
- きんぴらごぼう
ごぼうが地中深くに根差すことから「家や土地の繁栄」、細長い形状から「長寿」など様々な福につながる縁起物。
- 紅白なます
お祝い事の水引きに使われるなど、昔から紅白は「平安」「平和」を願う象徴。
- 田作り(ごまめ)
小魚を田んぼに肥料としてまいたことから「五穀豊穣」を願う料理。
- 栗きんとん
黄金色で「財運をもたらす」縁起物。
【保育での取り入れ方】
本物のおせちを写真や絵で見せて「どんな形かな?」と観察する。色紙や折り紙でおせちを作って「自分のお重」を作る遊びに発展できる。
1-3.お雑煮
【特徴】
地域ごとに違いがあるのが大きな魅力。関東は四角い切り餅を焼いて、すまし汁仕立て。関西は丸餅を煮て、白みそ仕立てにするなど。
【意味】
新年に家族で囲む「初めての食事」として、一年の健康と無事を願う料理。
【保育での取り入れ方】
餅の実物は危険なので、白い粘土やスポンジで「お餅づくりごっこ」。具材(大根、にんじん、鶏肉など)の写真を並べて「何が入るかな?」と地域の違いを紹介する。
2.保育でのねらいにつなげるポイント
- 「長生きできますように」「元気に遊べますように」など子どもに伝わりやすい表現を使う。
- 「どうして黒い豆なのかな?」と問いかけ、考えるきっかけを作る。
- 家庭ごとに「わが家のお雑煮」を持ち寄って写真を見せ合ったり話し合うことで、地域性や家庭文化を尊重する学びにつながる。

3.給食で出せる年末年始の行事食
3-1.年越しそば風うどん
本来は「年越しそば」ですが、保育ではアレルギーや喉ごしを考えて 細めのうどん で代替。
やわらかく煮た具材(にんじん・小松菜・鶏肉など)を添えると彩りも豊か。
「長生きできますように」という意味も簡単に伝えられる。
3-2.おせち料理
・黒豆の甘煮
甘さを控えておやつにも活用可。
・きんぴらごぼう
幼児向けにやわらかめに調理。
・栗きんとん風
さつまいもと少量の栗で甘さ控えめに。
・紅白なます風サラダ
大根とにんじんを塩もみして甘酢で和え、酢は控えめに。
3-3.雑煮
餅の代わりに すいとん風の小麦だんご や 高野豆腐 を入れると安心。
具材は地域性を取り入れて「関東風すまし汁」や「関西風白みそ仕立て」などを紹介。
行事食として「家庭ではお餅を食べるけれど、園ではお野菜たっぷりのお雑煮です」と伝えられる。
4.食育につながる声掛けの工夫
- 意味を子どもに分かる言葉に変える
例:「健康祈願」→「元気でいられますように」
- 五感を意識させる
例:「つやつやしてるね」「プチプチするね」「どんなにおいがする?」
- 家庭とのつながりを広げる
例:「おうちでも食べるかな?」「お父さんやお母さんに聞いてみよう」
まとめ
年末年始の行事食には、子どもたちの健康や成長を願う昔からの思いが込められています。
保育園では、安全に配慮した献立や遊びを通してその意味を伝えることで、子どもたちが「食べることの大切さ」や「家族や地域とのつながり」を感じられるきっかけになります。
楽しく味わいながら、日本の伝統文化を未来につないでいきましょう。